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シーラカンスは深淵をゆく

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「7」という数字について

 「7」だ。

 たぶん日本人が一番好きな数字ではないだろうか。ウルトラセブンにワイルドセブン、セブンスターやマイルドセブン、世界七不思議、ジェームズボンドが007、七人の侍、ドレミファソラシ、七草、七福神、虹は七色、ちょっとかわいく七人の小人、テーブルには七味トウガラシ、一週間が7日で・・・、探し始めたら出てくる量が他の数とは違う。生活の色々なところに「7」が使われている。

 よく言う「ラッキーセブン」は日本で言われるようになったのかと思ったら、どうも違うらしい。「ラッキーセブン」は外国で言われていたのを輸入したようだ。ならば、外国でも「7」がいろいろ使われているのだろうか。

 まずはキリスト教の「7」を見てみると、それがあまりない。

 7つの大罪(傲慢・憤怒・嫉妬・怠惰・強欲・暴食・色欲)、 七大天使(ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルの4大天使にあと三人は宗派によってかわる) 、7つの門・・・ぐらいなのだ。 もちろん聖書を紐解けばたくさん出てくるにちがいない。でもこれまでの数字と同じようにしてこれだけだ。ちょっと拍子抜けした。

 七人の小人はヨーロッパ、007はイギリス。ないわけではない。野球の試合では、7回に入ると応援団がそれぞれエールを送っていた。 宗教絡みではないのかもしれない。キリスト教の外側に位置するタロットでは「戦車」であり、特にラッキーなナンバーという感じではない。

 ただ、大きいこととして、「7日目にしてようやく神は安心して休まれた」の一節に出てくるように、7日目を安息日としたのはユダヤ教、キリスト教。曜日は違ってもイスラム教も七曜だ。でも、調べてみるとそのさらに古い時代、バベルの塔で有名なバビロニアですでに七曜は用いられていた。太陽、月、金星、木星、土星、火星、水星の他の星とは違う動きをする星を当てはめていた。月火水木金土日の順番がどの様に決まったかはwikipediaに詳細に記されている。僕は五大元素に太陽と月をいれて七曜になったのではないかと思っていたけれど、その予想は外れた。七曜は星の動きを重視した人達が考案したものだった。

 七曜はヨーロッパ圏で育ったかと言えばそうではない。中国も天文学があり、他の星とは違う動きをする7つの天体のことは知っていて、かなり前から七曜を採用していた。そして、日本には平安時代に入ってきている。 六曜よりもずっと古い存在だ。いったん江戸時代に七曜が消えかかったけれど明治になって法律として定められた。六曜はまだ、カレンダーのホンの片隅に記されているだけの存在だったけれど、それが一般に広がるきっかけとなったようだ。大安や仏滅を気にするようになったのはここ100年ぐらいのことだ。世界中の歴史を当たってみても、七曜でなかったのはごくわずかの国の一時期らしい。七曜は世界のスタンダードだ。

 ラッキーセブンは七曜からきたのかと思ったら、どうもそうではないらしい。 野球の試合で単純なフライが風によってホームランになったのが7回で、その試合に勝てたからラッキーセブンと呼ばれるようになったと言う話が残っている。ラッキーセブンの存在感がかなり軽いもののような気がしてきた。

 「7」をラッキーナンバーとした西洋文化に「7」にまつわる話があまり見られないのに、東洋文化にはたくさん見つけられた。
七難、七生、七福神(大黒天・恵比須・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋)、七曜、初七日、四十九日(7×7)、七里結界、七覚支(悟りを開くための修行法)、・・・。仏教にも神道にも顔を出す。言葉や風習、文化では、七夕、七草、七不思議、七五調、七光、七転八倒、七味唐辛子、七宝焼、虹は七色(日本では赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)、七変化 、七彩・・・。7つあって良しとしている感じがする。

 「7」という数字は偶然もあって不思議な数なのだ。 太陽と月と五惑星の7の他に、北斗七星が「7」、プレアデス(スバル)星団が「7」、オリオン座の主要な星が「7」である。ほかにもたくさん星座があるけれど、占いとして北斗七星は重視されていたし、星団として肉眼で確認できるのがプレアデス星団だし、オリオン座は洋の東西を問わず季節を知る上では重要な星座だった。

 それから、数学的にみると 、七角形は分度器やコンパスを使って正確に描けない初めての図形になる。360°は7で割り切ることが出来ない。サイコロの目は反対側を合わせると「7」。音楽ではドからシまでが「7」、化学ではPhの中性が「7」とキリがない。

 七角形以外の図形でみると、ダビデの星、六芒星の真ん中に太陽を配置して他を頂点にする図、四方に上下を加えてその中心を7つ目とする図、 が挙げられる。それ以外にも形を作ることはできるけれど、僕には意味を見出すことが出来ないので触れない。

 六芒星に中心をおくのは印を結んでその中央を射抜く、または相手に打ち込むという意味が生じてくる。でも、太陽を中央に据えるのは、六芒星と星を結び付けるための便宜上の形のような気がする。それは太陽を中心に回っているという考えはずっと後の時代だし、太陽を主の神にしたのは、世界的にみると少ないのだ。日本とエジプトのわずかな時代とマヤの人達ぐらいではなかっただろうか。だから、もし描くとしたら七芒星に中心の人類を置く「8」の捉え方の方がすっきりする。
ただ、七角形は定規を使って描けない。そこがネックになる形だ。

 「7」を分解してわかりやすいのが「3」と「4」の組み合わせだ。 「1」と「6」は六芒星と中心で話をまとめられる。でも「2」と「5」はうまく説明がつかない。そして「3」と「4」だ。「3」の発展に「4」の四方という取り巻く世界、もしくは四大元素の基本(基盤)が加わる。とてもいい数字の組み合わせだ。そこには「秩序」があり、人々が希望を持って暮らせる世界があるように感じる。
タロット14番目のカード「節制」には、四角と三角が組み合わさったマークが天使(?)の胸に描かれている。このカードは神秘と現実のバランスや物事の流れを重んじるカードだ。そして12番目の「吊るされた男」には、足で十字の「4」、腕で三角形の「3」を形どっている。吊るされていても微笑んでいる彼は、世界の道理を見極めて自己犠牲に出た姿とされている。

 「7」は「不思議」な力を持ちながら世の中の「秩序」を要素として持っているのではないかと感じる。だから何かが七つあるとホッとして、何かすごいことが起きるんじゃないかと思ったりするんじゃないんだろうか。そして、正方形を底面にして三角形を四枚貼り合わせた形がピラミッドだ。エジプトの王は「秩序」と「発展」を祈って、国を治めるために作ったのではないだろうか。

 日本で好まれている字の一つとして「寿」があるけれど、この字は草書体で書こうとすると七を三回書く形となる。スロットのスリーセブンは「寿」のことなのだ。
by musapoo-world | 2011-08-16 22:54 | 無知の空騒ぎ

1987年に始まった「シーラカンス通信」の流れを汲み、自分を見詰め、自分の道を模索する、自己療養のささやかな試みだから、月に一度程度のものぐさブログ。


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