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シーラカンスは深淵をゆく

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「3」という数字について

 「1」が孤独、「2」がバランス、 では「3」はなんだろう。

 「3」には「発展」と「安定 」の要素があると思っている。相入れぬ二つの要素。この二つが混在しているのが数字の「3」だ。これも、「2」と同じように 、三つの点の位置(力)関係とその捉え方で変わってくる。

 まず、「発展」から触れていきたい。

 「2」には対立が含まれている。 違う価値観の違い、立場の違い、宗教の違い、主張する物の違い、生い立ちの違い、あらゆる違いから対立が生まれる。でも、対立しても相手を追いやろうとするばかりではなく、必ず衝突を避けようとする行動が生まれる。妥協点を見つけて互いに譲り合う。これも1つの解決方法だ。でも、お互いに譲り合えずにまとまらない時もある。そんな時は喧嘩の仲裁に入るのと同じで、中立的な第三者が間にはいることで解決できることはたくさんある。裁判だってそうだし、かつては仲人さんだってそうだ。何かの契りを交わすときの立会人、後見人、そうした人たちは何らかの間に立つ立場の人たちだ。そして、「2」の対立を収めてきた。

 「発展」としては少し弱いけれど、対立を収めるのだから「進歩」ぐらいにはなるだろうか。
 でも、こういう場合は「発展」と言えると思う。 間に立てて妥協点を見つける方法ではなく、新しい価値観を見出してそれで納得し合う方法だ。対立しあっている二つとは違う、より高い次元の存在。

 世界中のどの時代どこの国よりも長く安定していたローマ帝国は、武力で隣国を支配していたのではない。色々な国の宗教や文化を尊びながらも、より高い目標を示して隣国を融合していったのだ。 また、科学の世界でも互いに矛盾する現象から新しい理論が導き出される。そうやって、人間は発展して来たんだと思っている。  それまでの価値観から違った価値観へ導いて行く。宗教や人種で対立してきた人類が、博愛とか人権とか新しい価値観によって世界をまとめようとしているのもこの「3」の姿だと思う。

 ここまでの話を図式化すれば、二つの点に対して正三角形、または二等辺三角形の頂点の位置に三つ目の点が位置する。


 次に「安定」の面を見ていく。

 「3」で思い出すのもは?と聞かれると、3大祭とか、日本3景とか、甲乙付け難いものを集めるときの言い方を思い出す。東方からの三賢者、三銃士、三種の神器、天地人、物質の三態(気体・液体・固体)、三原色、空海陸、父と子と聖霊、三権分立、仏法僧、天空・地上・冥界(地下)、ジャンケン、ダンゴ三兄弟、三人よらば文殊の知恵・・・。物語や科学、宗教、世界観と言った中にも、数限りなく出てくる。 甲乙をつけずに同等の位置づけにすることで、「2」では得難い安心感をもたせることができ、その上、心強くもある。例をあげた中には、三つしかないから仕方ないものもあけれど、三つでなくていい物だってかなりある。

 ジャンケンや三権分立のように、1つが強大になりすぎない三つ巴の状態。そして、三銃士やダンゴ三兄弟みたいに、それぞれの弱点を補ったり良さを生かしたりする関係。ダンゴは四つついているのが多いと思うけれど、それを三兄弟にしたからヒットしたんだと思う。

 物語でも勇者、賢者、道化などの三タイプのトリオが活躍するものが結構ある。ハリーポッターなどはその顕著なものだ。行動することを運命付られたハリーに秀才のハーマイオニー、そして緊張を和らげたり思わぬ発想をしたりするロン。中心はポッターだったとしても二人の存在は欠くことはできない。

 権力、財力、武力の組み合わせは歴史物に多い。ローマのカエサル(シーザー)やアウグストゥスは始め三頭政治を行い、その三角の一点が崩れて双頭となり、全面戦争に突入していった。三頭が双頭になるととても危険な状態に陥る。もし、トップを決めなければならないのなら、二人が大人しくサポート役に回ることが一番なんだけど、歴史的に見るとそれはすごく難しい。

 「3」は、トップを狙う人にとっては鬱陶しい数字であることは間違えない。でも、「安定」と「発展」という相反する事柄を含みながら、人類の究極の願いのようなものを要素として持っているように思えてならない。  関係ないかもしれないけど、人を説得するとき、三つの理由をあげるとうまくいくかもしれない。四つ以上だとなんかとってつけた理由のようなうさんくささが出てきてしまうし、二つだと物足りない。
by musapoo-world | 2011-08-11 23:35 | 無知の空騒ぎ

1987年に始まった「シーラカンス通信」の流れを汲み、自分を見詰め、自分の道を模索する、自己療養のささやかな試みだから、月に一度程度のものぐさブログ。


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